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とにかく推しに甘い

映画デスノートを観た話(※ネタバレしかない)

新作映画デスノート観てきました!観終わった後周りの席の人が口々に「つまんない」とか「期待はずれ」などと言っていて、まあ気持ちは分からなくもないんだけど、わたしとしては結構楽しめたし性癖に刺さりまくったので、備忘録として感想を残しておきます。

考察(と言うほどでもない)と妄想とネタバレ含んだ感想になるので、諸々自衛お願いします。

 

 

 

1.ベポ

松坂桃李が声当てたと聞いてワクワクしてたけど、出演時間二分もない。そのためだけに松坂桃李をキャスティング…?なんのために…?

ベポがしたことといえばデスノートの新しいルールを伝えただけでその後一切出てこないので、出てきた意味とは?と言う感じだったので、その後もなんらかの形で出てくれば良かったのに。それはリューク、アーマ以外の死神にも言えることだけど、実際問題リュークやアーマのように人間に姿を晒す死神の方が珍しくて、ベポのようにほとんどの死神は姿を隠してるのが普通だったりするのかな。

 

2.船越英一郎(御厨賢一)

最高裁判所判事がデスノートを手にしたらどうなるのか?というモデルケースっぽいけど、総出演時間五分くらいしかなくてほんと勿体無い。この人だけでスピンオフ一本とれるのでは?彼がキラ信者を粛清するのは「法としての秩序」を守りたいがためだという解釈でいます。キラは法律から一番遠いところにいるので、キラの存在を容認してしまうと自分の存在意義がなくなるもんね。

でもこれほんと船越英一郎である必要とは…?あんな五分で消えるのに…?

 

3.川栄李奈(青井さくら)

トチ狂った感じの演技が最高!でも彼女のサイコパス感はhulu見てないと分からないところあるからなあ…huluの話も入れればいいのにな…不親切設計どうにかならんのか?

彼女はキラとかそういうの関係なく、一般の人間がデスノートを持ってしまったらどうなるか?というモデルケースという解釈。デスノートによって得られる全能感、自分は他の人間とは違うという優越感。渋谷のスクランブル交差点での大量殺戮はその現れなのかなと思います。ちなみに彼女のこと大好きなのに五分くらいで消えます。

 

4.他のデスノート保持者(二名)

医者がデスノートを手にしたらどうなるか?というのはなかなか面白かったな。初めてデスノートを使ったのが苦しむ患者を救うためだったっていうのが、色々と考えさせられた。

あと一瞬で消えたウォール街の悪魔さん…何も分からなかった…もっと尺があっても良かった。

 

5.松田

松田は今作で唯一前作の記憶を持っているキャストであり、死ぬまでずっと苦しかったのではないかな、と思う。今回対策室メンバーはみんな偽名を使っていたのに松田だけ本名なのは夜神総一郎の意志を継いでいるとパンフレットに書いてあったけど、過去にあったことを忘れないために本名でいたりするのかな~。戒め的な…(妄想です)

キラウィスルが拡散されてキラ(月のほう)の映像を目にしたとき、松田が嬉しそうなのなんか…言葉をなくした…彼にとって月はキラであると同時に一緒にキラを追いかけて追い詰めた頼りになる仲間であり、同志であり、可愛い後輩なんだよな。頭ではもう月は死んでいるし、彼がキラだということもちゃんとわかってて、でもやっぱり月が生きているかもしれないと思ったら、思わず微笑んでしまうくらいうれしい、というのは…松田…辛かったな…。しかも竜崎に「嬉しそうにするな」と言われて慌てて顔を引き締めるの、無意識だったんだなって結構しんどいです。

「もし月くんが生きていてこの事件を引き起こしているのだとしたら僕が止めなきゃ」というセリフは、過去生身の月に接したことがある人間は自分だけで、だからこの事件を終わらせるのは自分でなければならない、という決意から生まれたセリフなのかと思いました。昔月を殺した松田は、もう一度月を殺す決意をしたのだった…(妄想です)

思えばあのメンバーの中で月の肉声を聞いたことがあるのは松田だけなんだよな。

 

6.ミサミサ

ミサミサ!お前はいい女だ!幸せになってくれ!

10年前に月を喪ったミサは10年間で立派な女優になってここまで生きてきたけど、ずっと月が好きなまんまで、10年間恋人もいなかったのはどうしたって月が忘れられなかったからなんだなあ。月はもう死んでいてどこにもいないってわかってる。だから紫苑の言葉にも「そんな言葉信じるわけないでしょ」って返した。でも頭ではわかっていても心が月の生存を信じてしまった。もしかしたら月は生きているかもしれない、目の前で死んだ月は実は夢で、本当はどこかで生きているんじゃないかって、そう思ってしまったから、紫苑に言われた場所にやってきたんだよね。ミサの10年は月を好きでいた10年だったんだ……。(一縷の望みをかけて死神の目を手に入れて月の写真を見た時のミサの気持ちを考えるとかなりしんどい)

それからミサがデスノートに書いた死に方が「夜神月の腕の中で死亡」がマジでしんどさの極みだった。しかもその死に方についてパンフレットに「あり得ない死に方を書くと心臓麻痺になるので、ミサの死因は心臓麻痺です」って書いてあって、こいつらには血も涙もないんだと思いました。ミサ~幸せになる道もあったのに、その道を選ばず、愛した男と一生添い遂げる道を選んだお前はいい女だよ……ただひたすらたった一人の人間のために存在した人生で、たった一人のために縋るように生きてきた10年だったんだな…。

 

7.紫苑優輝

オタクってこういうキャラ好きでしょ?とでも言いたげな全方位に向けて突き刺さりそうなキャラ設定(でもなんで紫苑があそこまでキラ狂信者になったかはhulu見ないと全然わからないので、マジでこの不親切設計はどうにかしたほうが良いと思います。ほんとに)。「キラこそが神だ」と言って嗤う時の表情、百点満点中の五百点くらいあります。

紫苑がデスノートを集める理由はただ一つ、自分にとって唯一神であり絶対神である「キラ」を「復活」させること。夜神月こそが「キラ」であり、それ以外の「キラ」は全部キラの偽物。最後、約束の場所で死神の目を手に入れて、キラを殺す、と宣言した紫苑、めっちゃ好きです。こういうのに弱い。

ある意味作中で一番ピュアな存在なのかも?ただただ自分を救ってくれたキラを信じていて、世界を二つに分けるならキラか、キラじゃないか。そういう危うさがある。それと同時に若さゆえの無鉄砲さ?もあって、リュークにゲームをしようと持ちかけて、銃で撃たれまくっても嗤いながらデスノートに名前を書き続けるシーン、狂気を感じてすごい良かったです。菅田ちゃん、作品ごとに全然違う人間になるからすごいよね。でも竜崎に「ノートが銃に勝てっかよ」って正論言われるのめちゃめちゃ面白かった。その通り過ぎる。

あと、全力でコスプレするの、かわいかったです。

 

8.竜崎

映画だといきなり竜崎が捜査協力することになるので、全然いみわからんってかんじになるんですけど、これもhulu見てればわかるんだよな……hulu見ないと前後関係わからない不親切設計まじでどうにかしたほうがいいよ(三度目)。

竜崎は天才になりたかった天才、って感じなのかな~と思いました。Lを超えるとしきりに言うけど、結局Lと同じ死に方で死ぬのは皮肉だなと思う。

まず前提として越えられない大きな壁があって、それを越えよう越えようと必死になっている印象を受けました。だから今回の映画が緊張感のある頭脳戦や心理戦じゃなくて、穴も多いし杜撰な感じがあるのは、天才同士の戦いじゃなくて、天才になりたかった凡人たちの知恵比べだったからなのかな~(肯定的に捉えてみました)。デスノートを一度も使わず、デスノート事件を解決する。Lが成し遂げられなかったことを自分が成し遂げることで、Lを超える。そうして「Lの後継者」ではなく、「竜崎」という存在、ひいては「新井正幸」という一個人を認めてもらいたかった。Lを超えられなければ竜崎は一生「Lの後継者」であり、「新井正幸」にはなれない。それなら生きてたって死んでたって同じことなんだろうし(妄想です)。

だからアーマが自分の寿命を延ばして砂になって消えた時、あれだけ絶叫して見せたんだと思う。アーマはLのこともLの後継者としての竜崎のことも知らなくて、ただただ「デスノート保持者の新井正幸」という一個人を見てくれていたから、だからアーマの存在は竜崎にとってある種の救いになっていたところ、あると思います。竜崎にとってアーマは死神であると同時に「この世界でたったひとり存在する、自分を理解してくれる存在」だったのかなあ。そうして、そこに三島が加わりかけていた。三島はほとんど竜崎のことLの後継者とは呼ばなかったもんね。竜崎のこと殺したけど。

三島、竜崎のこと殺したけど……。

 

9.アーマ

アーマも総出演時間五分くらいだったけど、竜崎の命を救って消える、というとんでもない技をやってのけて消えたのほんとずるいです。アーマが女性的であるので、竜崎×死神とか全然ありとか思っちゃったんで勘弁してください。

アーマの名前の意味、なんだろう?って思ったんですけど、アニマだったりするのかな?どちらかというとアーマに竜崎の「母親」としての立ち位置を見出したので…。

竜崎はアーマのことを「友」と表現したけど、アーマは竜崎の「友」であると同時に竜崎の「母親」であり「姉」であり「理解者」であり、存在しえないはずの「家族」だったのかもしれないな~。監督、お願いしますから竜崎とアーマのスピンオフを作ってください。hulu限定公開でいいので!お願いします!

 

10.三島

新生キラ様ばんざーい!最高です!

ほんとラストくらいまで竜崎と紫苑のキャラがめちゃめちゃ立っているので、こいつ無個性だし微妙だなあ……と思っていたんですが、約束の場所に来てからが本番でした。微妙とか言ってごめん。新生キラ様ばんざーい!ていうかちょっと狂った感じの東出昌大が最高なのかもしれん。

(ここから全部妄想です)

最初は純粋にキラ事件を追っていて(とはいっても、純粋な気持ちだけであそこまで追いかけるか?普通、とも思うので、ある意味キラ信者に近い存在だったんだと思う。病的にキラを追いかけるうちに信者のようなものになってしまった的な)、でもそこでキラの子供と魅上に出会ってしまい、成り行きとはいえそうしてデスノートを手に入れてしまう。ストックホルム症候群ではないけど、病的なまでにキラを追いかけていた三島は、ある種自分自身がキラになってしまったような錯覚?みたいなものを覚えてしまったんだと思う。この世で一番キラを理解しているのは自分だという無意識化の感情があって、だからキラを模倣して粛清を行い、キラウィルスを作り、紫苑を焚き付け、竜崎を殺した。三島にとってキラを模倣するのは容易いことだったのでは?あの時点で世界で一番キラに近い存在は三島なわけだし。犯罪者と探偵が表裏一体なのと同じように、キラとキラを研究するものは表裏一体みたいなところあると思います。

何がびっくりしたって、竜崎と出会った頃の三島はまだ新生キラだったってとこだよ!しかも死神の目を持っているキラだったわけ…。つまりベポを見た時も実は全然ビビってなかった可能性があるわけで…(この時点で所有権を放棄していたのかは謎)。いつからいつまでが新生キラで、いつから約束の場所までが三島なのか教えてほしい。気になりすぎる。

序盤意味深に壁に掛かった絵を見るシーンがあって、そこがずっと気になっていたんだけど、ラスト足を組んだ新生キラの三島がその絵を見るシーンがあって、これ伏線でしたか!ってわかってすごい興奮した。サイコパスみを感じる東出昌大、控えめに見て最高でしたので、もっとこういう役やってください。

ラスト、竜崎が三島になって三島として「死んで」、三島が竜崎となって「生きる」シーン、これからは三島がLの後継者としてキラ事件解決のため動き出すみたいな感じになってて、なんだよ大団円かよ…ハッピーエンドか…つまんねーな…と思ってちょっとがっかりしたんだけど(ここで過るミュージアムの煽り「あなたは最悪のラストを期待する」)、最後の最後でキラ(藤原竜也のほう)が「計画通りだ」って微笑む映像があってすごい興奮しました!パンフレットでは見た方の捉え方に委ねますと書いてあったので、わたしは「竜崎が三島として死んで、三島が竜崎として生きることになる」までが三島の、というか新生キラの計画だった説推します!Lとして生きることになった新生キラ、これで完全にキラの後継者になったわけです。キラの後継者というか、もうキラを超えてない?Lとしてキラを追うふりをしながら、新生キラとして存在し続けられる。しかも三島、死神の目持ってるしね。誰も勝てないのでは…表向きはLの後継者として事件を追いながらその実キラとして裁きを行い続ける…最悪の黒幕…最高…興奮する…こういうの大好き…スピンオフhuluで作ってください。

 

最後に一個だけ言いたいんだけど、作品を作るために必要だったとはいえ、キラ(藤原竜也のほう)ってあんな性格だったかな?キラの後継者になれ、とかいうようなキャラかな?自分だけがキラでありたい人があんなこと言うだろうか…そこだけがすごいもやもやします。他にやりようがなかったんだろうか。デスノートが六冊また地上に落ちた来た理由とかまあまあ納得いく理由作り上げたくせに、そこはがばがばなのどうにかなりませんでしたか?キラの後継者を残すために遺伝子をアメリカに送って秘密裏に子供作ってたとか笑っちゃったよ。竜崎も遺伝子残すための子供だったし、簡単に遺伝子残しすぎだし誰もそれを知らなさすぎ。月に至っては秘密裏に残さなくてもミサがいたじゃん!ミサを孤独から救ってやってくれよ!月が秘密裏に知らない女に子供産ませてたとか知ったらミサ死んじゃうよ!(もう死んでるけど)

キャラが結構よかっただけにちょいちょい意味わからない設定とか笑えるようなネタ仕込んでくるのが残念でした。ほんと月の遺伝子を残すために生まれた子供とか、その設定必要だった?三分くらいしか出てこなかったのに…。